2005年、戦後の沖縄を描いた映画『ハブと拳骨』でデビュー。三線弾きの主役を演じ、第20回東京国際映画祭コンペティション部門にノミネートされる。その後も映画を中心に活動するが、2008年NYで出逢ったメソッド演劇に感銘を受け、本格的にNYで芝居を学ぶことを決意し、その年に渡米。ニコール・キッドマンのプライベートコーチであるSusan BatsonやRoberta Wallchなどから演技を学ぶ。JT『SVEN STARS』 広告が評価され米国CNNが選ぶ『The Tokyo Hot List : 20 People to watch 2010』に選出される。現在は日本とアメリカを行き来しながら、邦画だけではなく海外作品にも多数出演。
今日は「俳優のEDGE、男のEDGE」というテーマで、尚玄さんの生き様、ライフスタイルなど、「俳優 尚玄」を形成するコアな部分のお話しをおうかがいできればと思ってます。よろしくお願いします。
まず、バックパックで世界40ヵ国以上を旅しながら パリ・ミラン・ロンドンでモデルとして活動し、帰国後に「ハブと拳骨(2005年 中井庸友監督)」で主役デビューされました。海外での経験はどういった形で「俳優 尚玄」のなかに育まれているのでしょうか。
僕がNYでアクティングを学んでいた時に、アクティングコーチに言われた言葉に「旅をする人は偏見が少ない」という言葉があります。「偏見が少ない人は、自分の役にアプローチする時も偏見を持たずに演じることができる。俳優としてはすごく重要な要素だ。」と言われました。
自分が経験してきた実生活にプラスして、役を演じていくうえで俳優は「誰かの人生」を演じることで経験できますよね。「誰かの人生」を演じる時に重要なポイントとして「自分の中のコモンセンスを壊していくこと」があると思ってます。海外での生活は、自分の既成概念を壊してくれる経験になるので、俳優としてはかなりの財産だったと思ってます。
「偏見が少ない」ということは、真っ白なキャンバスにいろいろな生き様、役柄を描いていけるということですよね。
そうですね、僕は「悪役の立ち位置」にいる役を演じることが多いのですが、でも悪役という立ち位置は、「主人公の反対側の立ち位置」にいる人、つまり、反対側の視点にいる人が「悪役」と呼ばれてるだけですよね。その人は自分が悪役だと思って人生を生きているわけではないですから。その悪役と呼ばれる人にも、その人の生き様を与えることを、演じるうえで大切にしていきたいといつも考えています。
主演デビューされた「ハブと拳骨」は1960年代の沖縄のコザが舞台ですが、あの時代、匂い、世界観を映像化するにあたってどのような苦労がありましたか。
僕にとって初めての映画撮影だったので、もう大変なことしかなかったですね(笑)。映画経験のない自分としては、自分の魂そのものをフイルムにぶつけるしかできなかったですね。そういう意味では、あの芝居はもう二度とできないかもしれません、まっさらな自分をストレートに演じたという意味では。
以前から「仁義なき戦い(1973年 深作欣二監督)」など当時の深作監督の作品がすごく好きで、あのテイスト、世界観は「ハブと拳骨」でも表現できたのではと思ってます。当時の「南へ走れ、海の道を!(1986年 和泉聖治監督)」や「海燕ジョーの奇跡(1984年 藤田敏八監督)」のような、あの時代の「ギラギラした世界観」には魅かれますね。いま一番やりたい映画としては、沖縄を舞台とした、あのテイストの作品で演じてみたいですね。
沖縄を舞台としたギラギラな世界観の作品、楽しみにしています。近年ではアジアでの出演も増えていますが、演じる場所、国で何かご自身のなかで違いはありますか。
心構え自体は変わらないのですが、その土地その土地の、ネイティブな土着のものに対しての尊重は忘れなようにしてます。できるだけ早くロケ地に入って、例えばマレーシアでの撮影であればその土地のモスクに挨拶にいったり、タイだったらその国で生活する人々と話しを交わしたり。映画には演じる「人間」以上のものが作用すると思います。その土地の天候、食べ物、言葉など全てが組み合わさってひとつの作品ができあがると思いますので。
南の島発、メンズコスメDOORSはキー成分に沖縄海泥や月桃、シークワーサーなど沖縄の恵みを取り入れ、商品撮影もオール沖縄ロケでした。沖縄のカルチャー、自然、暮らし、のなかで生まれ育った尚玄さんに、一番のインパクトを与えたものは沖縄の何でしょうか。
やはり鮮烈に影響を受けたのは「沖縄の自然」ですね。沖縄を長く離れていると、沖縄の自然、陽の光、海が恋しくなります。圧倒的な「光」が沖縄にはありますよね。そして土地の「匂い」が違いますね。
確かに、那覇空港で飛行機から一歩降りた瞬間に違いますよね。
そうですよね、あの感覚はこちらではないですね。生命力みなぎる感覚というか……たまに本当に恋しくなってくる時がありますね。
沖縄出身というルーツを意識することはありますでしょうか。
沖縄だからということを特別に普段構えている訳ではないのですが、やはり沖縄で生まれ育って、もう僕のなかのコアな部分に植えついているモノがありますね。それはかなり強くあると思うんですよ。海外で生活していても、まずは沖縄で生まれたということ、だからもちろん日本人でもありますし、アジア人でもあるのですが。その中でも自分は沖縄で生まれたんだ、という根本的な部分は確かにありますね。
メンズコスメDOORS。お使いになられての感想を一言いただけますか。
毎日使ってます。私は香りが一番気に入ってます。男らしくもあり、フルーティでもあるフレグランスが、メンズコスメの中でも圧倒的に好きですね。
ブランドシンボルを担っていただいた福生の米軍ハウスでの撮影はいかがでしたでしょうか。
メイクさん、スタイリストさんなど僕の昔からの仲間と一緒に挑めたので、リラックスしつつも集中して撮影できました。場所も沖縄ではありませんが、まるで沖縄でロケをしてるような感覚でした。米軍ハウスでの撮影だったので、セットにはない醸し出す雰囲気が現場にはありましたね。
座間味島を舞台とし主役の「雄飛(ゆうひ)」を演じられた短編映画「ココロ、オドル」の長編化が実現したとうかがいました。作品のテーマ、見どころ、公開予定などをご紹介ください。
公開は沖縄が先行で2018年の11月公開です。僕と「おばあ」が暮らす座間味の民宿に、いろいろなゲストが訪れるというストーリーで、今回は「食」もテーマともなっています。3話構成のオムニバス作品なのですが、どのエピソードにもおばあが作る手料理が印象的なシーンとしてでてきますよ。
あと、3話を通じて「子ども」が大きなテーマとなっています。1話に仲宗根梨乃さん、2話に仁科貴さん、3話に加藤雅也さんに出演いただいているのですが、「これから子どもを授かる夫婦の話」「子どもと離れてしまった父親の話」「血のつながらない親子の話」など、それぞれの「親子」の話が島の自然のなかで描かれています。
ロケ地の座間味島の海はケラマブルーとも呼ばれ、冬にはクジラも訪れる雄大な海です。その澄みきった海のブルー、生命力が溢れる島の自然の色彩と人々の暮らしが共存した作品となってます。
今後演じてみたい映画、役柄を教えてください。
次は「父親」役に取り組みたいですね。息子との「親子の絆」をテーマとした作品で、「家族の絆」を父親の立場で演じたいと思ってます。
歴史上の人物、アクター、アスリートなどで、尚玄さんが憧れるようなEDGEが効いてる生き様を感じる人はだれかいますか。
俳優として純粋に憧れるのは三船敏郎さんですね。世界中の人が憧れ、イメージする「日本の侍」だと思います。あのスケール、存在感をもった方は、今後もなかなかでてこないのではないでしょうか。ワールドワイドな活動のひとつとしては、メキシコ人役で出演した映画(1962年「価値ある男」)がゴールデングローブ賞を受賞したりもしてますよね。自分にとっての「俳優の理想像」は、やはり三船さんですね。
俳優としての存在感、三船敏郎という存在感が圧倒的な方ですよね。あえて言語化いただくと、尚玄さんの考える「俳優のEDGE」とは何でしょうか。
俳優のエッジというのは……「譲れないモノ」ではないでしょうか。これだけは譲れないという点が、その人にとっての男のエッジになると思います。そのコト、モノに関して、ある意味わがままであり続けることも含まれるかもしれませんが、どうしても手放せないコトが男女を問わずその人のエッジではないでしょうか。
「男のエッジを呼び覚ましてほしい」がDOORSのメッセージなのですが、尚玄さんのお話しにもありました、人それぞれ胸に秘めている、大切な、無くしたくない、削りたくないエッジは男性全員に必ずあると私たちも思っています。
これからも、DOORSというメンズコスメを通じて、尚玄さんと一緒に男の生き様を喚起、アジテートしていければと願っています。本日はありがとうございました。
こちらこそ、ありがとうございました。私もブランドシンボルの立場として、南の島の風をDOORSを通じてみなさまにお届けできればと思ってます。